私がうつ病になってからというもの、夫はふさぎ込みがちになった


私がうつ病になってからというもの、夫はふさぎ込みがちになった。
自分のせいで、私が病気になったと思い込んでいたのだ。

病院へもなかなか行かせたがらなかった。
テレビで薬をやみくもに出す医者の姿を取り上げた番組を見たことがあるそうで、私が薬漬けにされるのが心配だという。

ある日、私は夫に黙って精神科医を訪れた。
親子代々の精神科医で、評判のクリニックだった。
自分のためにも、夫のためにも、何とかしなければ、と言う気持ちが、私を強く後押しした。

カウンセリングのあと、薬を1種類だけ処方され、次の通院は1週間後。
寝起きの胸痛がぴたっと収まり、少しだけ、出歩くことが億劫でなくなった。

1週間後、通院のために外出したとき、空が青いことに久々に気づき、治るんじゃないかと思った。
先生にそのことを話し、夫が自分のせいだと思って自責の念にかられていること、精神科医に不信感を持っていて、ここへは夫に内緒で来ていることも相談した。

先生は、それはよくあることだけれど、誤解だから、無理のないタイミングで、どうぞご主人さんと一緒にお越し下さい、と言った。
くれぐれも伝えるために無理をしないようにと念を押され、私は少し安心した。
思えば今まで、私は何でもきちんとできなければと思って生きてきた。

自分の中では当たり前だという感覚だったので、無理をしているかどうかなんて考えたことはあまりなかった。
でも、その気持ちが私を押しつぶし、それもあってうつ病になってしまったのだ。
夫にそれを伝えなければと思った。

夜、どきどきしながら夫に告白した。
精神科医に行ったこと、薬の処方を1種類だけ受けたこと、安心できそうな先生で、一緒にお越しくださいといってくれたこと、うつの原因は私の性分によるところが大きく、あなたが自分を責めることは何にもないということ…。

夫は驚いていた。
内緒で精神科医に行ったことで気を悪くするのではないかと不安だったが、いつも部屋で塞ぎこんでいる私が、自分の意志で出かけたことや、精神科医に行ったことで少し気持ちが上向いていることに対する喜びの方が上回ったようだった。

まだ夫の中では「うつ病」や「精神科医」に対する心配があるようだが、それでも、「今度おれも一緒に先生に会いに行こう」といってくれた。
インターネットでは、治療は長くかかるという話をよく聞くので、私も覚悟はしているが、一緒にうつ病と戦ってくれる家族がいることに本当に感謝している。


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