うつ病といっても、ひとそれぞれによって症状は様々です。
ですが、近年うつ病という病名がメディアなどでも取り上げられ、
うつ病と診断される方が増えて来ております。

しかし、うつ病には単に落ち込んでいる状態(うつ)が続く「うつ病」もあれば、
一変して「何でもできそうな気分」になってしまう「躁うつ」と呼ばれる状態もあります。

うつ病の種類の分類でも述べたように、相半するうつ病エピソードが混合しているこの症状は、
混合性エピソード」と呼ばれ、別名双極性障害と呼ばれます。

少し前までは、そのようなハイになった状態を「躁うつ」と呼ばれておりましたが、
双極性障害または双極性感情障害」と病名が変わりました。

日本人が生涯に発生する割合は0.2%と低いですが、
現在うつ病で苦しんでいる方の中にもこの「双極性障害」である事に気付かない方も、
相当数いらっしゃると思います。

双極性障害の症状とは?

「双極性障害」というのは、簡単にいうと、その名の通り落ち込んでいる「うつ」の状態と、
その反対にある「ハイ」な状態を併せ持ち、それらが1年に1〜2回に訪れる病気と言われています。

しかし、年に2回以上訪れる場合もあり、その多くは不定期に訪れ、
例えば、1年間に4回以上このサイクルを繰り返す場合、
通常のサイクル(Cycling)よりも「早い(Rapid)」ので、「ラピットサイクル(Rapid Cycling)」と呼ばれ、
それを患っている方を「ラピットサイクラー(Rapid Cycler)」と呼びます。

ラピッとサイクラーの特長としては、「深刻な神経過敏」、「怒り」、「衝動的」があり、
突然の予測不可能な感情の変化により、感情が爆発したように見えます。

また、サイクルの期間も1日の中で「ハイ」な状態から「うつ」の状態まで変わる場合もあり、
時には時間単位で変化する事もあります。

サイクルが1ヶ月に4回訪れる場合は、ラピットよりも更に「早い(Ultra)」、
ウルトラサイクル(Ultra Cycyel)」、サイクルが1週間の内に数日訪れたり、
1日の中でサイクルがある場合は「Ultra-Ultra」または「Ultradian Cycling」と呼ばれます。

しかし、上記のような特殊なケースであっても、
多くは一時的なものであり、時間の経過とともに徐々に安定していったり、
治療により改善されていくケースがほとんどです。

双極性障害の原因とは?

「ラピッドサイクル」の場合、原因となるものは
親しい人との死別や、将来への不安、過去に起きたトラウマや挫折(程度問わず)が、
経験時にきちんと処理されておらず、ふとした時にそれを思い出したり、
同じ経験をした時に「ラピッドサイクル」に陥る場合もあるようです。

うつ病の方で、病院で診てもらう際、「やる気が起きない」、「突然涙が出て来る」、「鉛のように重たい」などの
症状は話すかと思いますが、「ハイ」になっている状態、つまり「躁状態」の事は、「元気な状態」であると
勘違いしてしまい、医者も気付けないのです。

双極性障害の見極め方

うつ病も、波がありますので、「やる気が起きない」状態かと思えば、
次の日には、朝起きてご飯も食べられるような状態になる時もあります。

「早く治りたい」、「治って欲しい」という意識から、
この状態を例えば家族が見たら、元気になって来たと勘違いするでしょうし、
患者自身も勘違いしてしまう事があります。

これだけでは「双極性障害」を疑うには不十分ですが、

  • うつ病と診断されて1年以上投薬治療を行っているにも関わらず、改善の見込みが無い
  • 「ハイ」な状態が3〜4日続く
  • 人を批判する時、オブラートに包まない
  • 感情の起伏が激しい

などの症状が当てはまるようですと、
「双極性障害」を疑ってもいいかもしれません。

双極性障害の治療時の注意

この「双極性障害」について、一番厄介なのは「うつ病」の薬を飲むと
症状が悪化してしまうという事です。

抗うつ剤というのは、簡単に言えば脳内物質であるセロトニンとノルアドレナリンが
上手く分泌されず「落ち込んでいる」状態から自力では立ち直れない人に対して、
その量を投薬により増やしてあげる事で、元気な状態に近づけてあげるのが目的です。

ですが、 前述の通り「双極性障害」には「ハイ」な状態、いわゆる「躁うつ」の状態があり、
ハイになって来る時に、抗うつ剤が効いてしまうと、さらにハイになってしまい、
衝動的に何かを始めたり、はたまた高額な商品を買って来たり、自傷行為に走ったりもしてしまいます。

そうならない為にも、うつ病患者の行動や言動に注意を向け、
あまりうつ病患者の言う事(特に「良くなって来た」、「気分が良い」)などが出て来たら、
その考えは果たして、薬によるものなのか、それとも必要以上に「ハイ」の状態に
なっていないかを見極めるのが大切です。

そして、例え患者が「双極性障害」でないと言っても、
きちんと該当する症状などを説明し、可能であれば一緒に病院に行き、
医師と「うつ」と「躁うつ」を繰り返している状態を話し、
今後の治療方針を決めていきましょう。

双極性障害の治療には気分調整薬を使う

一般的な双極性障害の治療として使用される薬の種類は
気分調整薬」と呼ばれる種類の薬になります。

双極性障害は「うつ」と「躁うつ」の両極端の気分の波があり、
「うつ」の状態の時には、やる気が起きるような作用を、
逆に「躁うつ」が出ている時には、気持ちを落ち着かせる、
いわゆるバランスを取る為の薬と考えると分かり易いかと思います。

この「気分調整薬」にも複数種類がありますので、
自分の身体にあったものを服用し、治療を行って行けば
気分の波を徐々に落ち着かせて行く事ができますので、
波が起きるまでの間隔がそのうち長くなり、気分の波の大きさも
どんどん小さくなり、回復に向かって行きます。

新たな双極性障害の治療方法(ストレスケア)

双極性障害に限ったことではありませんが、うつ病の治療方法として
ストレスを溜めない生活の中で、ストレスを取り除き、
社会復帰や日常生活への復帰を目的とした、ストレスケアという取り組みもあります。

具体的なストレスケアの内容については、
下記の「ストレスケアについて」ページで説明しておりますので、
興味のある方は一度ご覧になってみてください。

>>   ストレスケアでうつ病治療

>>  「双極性障害」の体験談を見る