うつ病と診断されてから、社会復帰やうつになる前の状態に近い状態まで
回復するまでに、大きく分けて急性期・回復期・再発予防期と3つのフェーズ(段階)があります。
何度も言いますが、人によってうつ病になった原因や期間、
そして性格などもありますので、一概には言えませんが一般的には下記のような期間で
回復していくと言われています。
急性期(診断~3カ月程度)
病院や診療所、クリニックなどで、「DSM-IV-TR」や「ICD-10」という、うつ病であるか判断するチェック項目と当てはめ、
その該当項目の数や患者の申告内容を考慮し、うつ病であると正式に診断されます。
うつ病と診断されると、必ずしも抗うつ薬を処方される訳ではなく、
例えば不安な気持ちを和らげる抗不安薬だったり、睡眠導入剤などを処方される場合もあります。
そして、カウンセリングや十分な休息を取りながら、
適切なうつ病治療を行っていくと、1~3カ月程でうつの症状が改善して行く事が多いと言われています。
ただし、人によっては副作用が出やすい体質の方や、
他の病気などで薬を服用している場合、飲み合わせの関係で
上記期間以上かかる場合がありますが、焦らない事が大切です。
また、抗うつ薬などの中には強い作用をもたらすものもあり、
重症患者になると、自分の判断で薬の量を増やしたり、
薬が合わないからといって、色んな医師にかかり、
その度に新しい薬を試す人もいますが、これは非常に危険な行為ですので、
副作用が出て薬が合わない場合にも、その薬が身体から抜ける(1週間前後)までは、
他の薬を服用しない方がいいでしょう。
※2014年現在、抗うつ剤は3種類まで処方される事が許されています
この急性期は心身ともにうつ病になったばかりで、
疲れきっている時ですので、休養がなによりも大事な治療となりますので、
必ず医師の指示に従い、ストレスを溜めない生活を心がけましょう。
回復期(4~6カ月以上)
回復期といっても、右肩上がりにうつ病が回復していくわけではなく、
普段の生活でさえ、気分の上下があるように、うつ病の回復期にも調子が良い日と悪い日があり、
1日単位でそれが切り替わる事がよくあります。
そこで、「あぁ、やっぱりまだまだ治らないだ… きっと一生このままだ…」などと落ち込まず、
うつ病の回復期には誰しもが通る道ですので、「徐々に調子が良い日が増えて来る」という事を
信じて回復を待ちましょう。
また、調子が良い日は良い日で注意が必要です。
ある程度、調子が良い日が続くと、「完治した!」と勘違いし、
薬の服用を自己判断で辞めたり、突然やる気が沸いて来たりするので、
職場復帰してしまう人も出て来ます。
しかし、回復期はまだ回復している段階なので、
もし職場にうつになった原因(本人が気付いていない場合もあります)があり、
それを許容できる術を持っていないと、またうつに逆戻りしてしまい、
うつの状態の時は「自殺」まで踏み込めなかった気持ちが、
回復期に気持ちが高揚し、少し調子が悪くなった際に、余計に自分自身を悲観してしまい
「自殺」に踏み切ってしまう事もあります。
そうならない為にも、医師と相談し、
うつになった原因(1つとは限りません)を見極め、
同じような場面に遭遇した場合、どう対処すれば良いかなど
ストレスケアも見つけておき、再発防止に努める事も大切です。
また、仕事も最初からいきなりフルタイムで働くのではなく、
最初は午前中、それが続いて来たら週1日だけ勤務時間を長くしてみる、
などと徐々に慣らして行き、途中で少しでも異変を感じたら
無理をせず、休養を取りましょう。
再発予防期
無事、回復期を過ぎ気持ちも安定し晴れて社会復帰などができたとしても、
うつ病は「再発の可能性」が極めて高い病気ですので、回復期を過ぎても
しばらくの期間(1〜2年)は、定期的に医師と相談しながら薬を服用したりカウンセリングを受け、
再発防止に努めましょう。
そして、自分自身の事を知り、
うつ病がひどくなる前にどんな兆候があるかを思い出し、
くれぐれも決して無理をせず、ストレスをコントロールして行きましょう。
最近ではストレスを溜めない方法を自身でケアする
ストレスケアを教えてくれる医療機関も増えて来ていますので、
もし社会復帰に不安があれば、専門的に行っているところを家や職場の近くに探しておき、
何かあったら相談しに行くのもいいかも知れません。
最後に上記の「うつ病克服までの治療期間と流れ」は、
あくまでも一例であり、人によってはあまり薬が効かない「治療抵抗性うつ病」であったり、
うつ病と症状が似ていて、実は違う病気だったり、または双極性障害という
「うつな状態」と「ハイな状態」が交互に表れる病気もあります。
いずれも初見では医師でも見極める事が難しいので、
なかなかうつ病から回復しないと感じている方は
もう少し医師に症状や自分自身の気持ちや考え方、
他に持病などが無いかを話し合ってみましょう。