うつ病になった人の中には、同時にパニック障害と診断される方も多くいます。
なぜならば、パニック障害もうつ病と同じようにセロトニンなどの脳内物質の減少や過剰分泌により
発症してしまう病気であり、その結果「パニック」を起こしてしまう病気だからです。
もちろん、それ以外にもパニック障害になってしまう原因は
生活環境を始め、うつ病と同じように過去のトラウマによるケースもあります。
パニックを起こしてしまう人は、
急激なストレスにさらされ、精神が耐えきれなくなってしまうと、
動悸やめまいを起こしたり、極度の緊張感にも似た状態になり、
全身から汗が出たり、過呼吸などにも似た息苦しさや吐き気、
手足の震えといった発作が出始めます。
よくあるシチュエーションですと、
人ごみが多い場所や電車内などの密閉空間で発症する人が多いですが、
中には本人すら気付いていない過去のトラウマによるものなどもあり、
発症する引き金は人それぞれ異なります。
そして、周りも何が起こったのか分からないくらい激しく動揺しているように見えますが、
パニックを起こした本人はというと、それ以上に、自分の身に何が起こったのかわからず、
また前述した症状がとても強く、「このまま死んでしまうのではないか」と思うくらい
コントロールする事ができず、緊急搬送される事もあります。
みなさんも1度は電車内で倒れた事のある人を見た事はあるのではないでしょうか。
家で仕事をしている人はともかく、パニックを起こす人の多くも、
普通の人と同じく仕事をしており、電車やエレベーターなどの密閉空間は
非常に生活に身近な為、ひとたびパニックを起こしてしまうと、
またパニックを起こしてしまうのではないかという恐怖感から、
外出する事が困難になってしまいます。
「1回パニックを起こした=パニック障害」と断定する事は
できませんが、頻繁に発作が起こる場合は、パニック障害と思った方がよいでしょう。
また、最初にパニックを起こした際、
おそらく病院に緊急搬送されるか、近くの救護室などで
休む事になるかと思いますが、発作が起きてから10分以内にピークに達し、
数分から一時間以内に落ち着く事が多く、身体的な原因ではないので、
検査などを受けても異常は発見されません。
そして、うつ病の場合も精神的なストレスにより同じような症状が出る為、
最初はパニック障害と診断され、その後うつ病に発展してしまうというケースもあります。
これはパニック障害をきちんと治療しなかった結果であり、
うつ病と同じく、早期発見早期治療すれば、
改善していく事がほとんどです。
もし、改善して行かない場合は、
橋本病やバセドウ病などの甲状腺ホルモンの異常によるものか
別の病気の可能性もあります。
パニック障害の具体的な治療法としては、
うつ病でも使用される抗うつ剤などの薬による治療と、
これもまたうつ病の治療法で使用される認知療法が一般的です。
パニック障害の場合、自分のネガティブな考え方をしてしまう
クセを知り、それを矯正してあげる認知療法をはじめとして、
意識的にリラックスした環境を作り上げて、心身ともにリラックスさせる
自律訓練法(リラクゼーション法)、そして認知療法と少し似た部分がありますが、
パニックを起こす引き金になった出来事などや場所に少しずつ慣らし、
苦手意識を矯正し、克服していく暴露療法(エクスポージャー)などの
心理療法が一般的です。
Q&Aページの認知療法のページでも触れていますが、
認知療法は始めるタイミングも大事ですし、
人によっては合う・合わないがありますので、
いずれにせよ、あせらず自分のペースで無理をせず
苦手な事やモノに少しずつ対応できるよう、続けていく事が大切です。