抗うつ剤のおかげで、もう一度スタートラインに立つことができた


私が、うつ病を発症したのは、大学受験受験合格直後でした。
高校を卒業し1年浪人。根を詰めて受験勉強に集中し、卒業翌年の2月、念願が叶い、第一志望校に合格しました。その直後の事です。合格して喜びで一杯のはずなのに、何をやっても「楽しい」「面白い」「すっきりした」と感じることが出来なくなり、ため息ばかりついていました。

何をするにも、心の底で「理由はないがとにかく不安」「うんざり」の気持ちが強く、何もする気力がわかず、入学準備でわくわくのはずの3月も、ただただ、ぼーっとする日々。食事も白米をお椀一杯食べるのもやっとで、体重も、1か月半で、7キロ減りました。寝つきも悪く、布団に入ってから眠りにつくまでに4~5時間かかる日がほとんどでした。

そして、4月になり、大学に入学し、中旬から授業が始まりましたが、人の大勢いる大教室での授業では、気分が悪くなることが何度もあり、教室を抜け出すこともありました。

そんな状態を見かねて、母が、4月下旬、精神科への受診を勧めてくれました。正直、当時は精神科に対する偏見が私の中にありましたが、それよりも、この状況から抜け出せるなら何でもいいとの気持ちが強く、近所の総合病院の精神科を受診しました。

診察当日は、初めて精神科にかかるので、とても不安でした。しかし、院内は想像していたのとは全く異なり、待合室は気軽に世間話をしているおばさんたちや、雑誌を読んでいる同年代の男性もいて、すこし拍子抜けしてしまいました。そして、いざ診察が始まると、担当の医師はとても優しく、親身になって話を聞いてくれました。

数回通って下された診断結果は、うつ病とパニック障害の併発(と、それに伴う不眠)。
「やはり心の病だったんだ」と診断がついて、ほっとしたのと同時に、「治るのかな」、「自分の人生はどうなるんだろう」と絶望的な気分にもなりました。

医師からは「抗うつ剤と睡眠薬を試してみましょう」と言われ、ルボックスと睡眠薬を処方されました。睡眠薬は、即効性があり、すぐに眠れるようになりましたが、うつ症状の方は、ルボックスを飲み始めてから数日過ぎても、特に変わりません。やはり治らないのかな…、と思って、約3週間過ぎた頃、なんだか少しですが、心にあった「すべて嫌」「うんざり」という気持ちが薄くなったように感じました。

その後、薬の量を増やしてもらい、更に飲み続けて、2か月が経つと少しずつ、「やる気」が戻ってきました。
そして、更に、メイラックスを出してもらうと、「理由はないがとにかく不安」が、だんだん和らいでいくのが実感できました。

その後も、医師と相談してトレドミンやワイパックスなどを試しました。どれも、それなりに効果があったのですが、結局、ルボックスとメイラックスが私には一番合うようで、それらを継続して服用する方針となりました。

良くなったり、悪くなったりを繰り返しましたが、ルボックスとメイラックスを服用し続けて2年が経ったころには大分症状が安定しました。
おかげで無事大学も卒業出来、その後、塾講師勤務を経て、法科大学院入学→卒業。その間に結婚もして、今は司法試験に向けて勉強をしています。

三十歳を超えた今でも、抗うつ剤は服用していますが、症状はとても安定しています。
大学入学直後は、うつ病に苦しんだものの、医師の適切で優しいアトバイスと、抗うつ剤のおかげで、私は、もう一度、スタートラインに立つことが出来ました。


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